前回はバリューチェーンという形で
俯瞰的な観点から
顧客に価値を提供する方法をお話しました。
今回はそのバリューチェーンを
より具体的に数字に落とし込んで
話を進めていきたいと思います。
数字の表現が増えてきて
ちょっと難しそうに見えるかもしれませんが
ひとつずつ確認しながら読むと
難しくない内容かと思うので
読んでいただけると幸いです^^;
わからなければ聞いてくださいませ。
それで本題ですが
今回のセミナーを行うにあたって
都市農業の環境の中でも
ビジネスとして成り立つ事例を探してました。
そのうちのお一人が
今回のセミナー登壇者、西田さんですが
他にも何人かいらっしゃいました。
その人たちのやってることを
調べているとある共通点が浮かび上がりました。
それは・・・
農業を始める前に数字を使った
シミュレーションを行っていたのです。
そして、皆さんすべてが
最初から農家の人ではなく
農業とは別の業界から来た
民間のサラリーマンの人たちでした。
これが何を意味するかというと
民間で使われている経営的ノウハウを
農業に活かしていると言えます。
それが今回、お話をするシミュレーションです。
とはいえ、新規就農する方々は
それに似たようなこともやられています。
それは
青年等就農計画なるもの。
「青年等就農計画制度」という制度があり
これから行う農業の事業計画を書きます。
ただ、これを見る限りでは
ざっくりしすぎて
「絵に描いた餅」感があります・・
とはいえ、この計画を立てること自体が
問題なのではなく
活かしきれていないことが問題なんです。
実際に簡単なシミュレーションをしてみますね。
例えば西田さんの
野菜セットの宅配のビジネスモデルで見てみます。
まずは年間の理想の所得と労働時間を決めます。
(理由についてはブログ考察3を参照)
今回は400万円の利益(所得)。
労働時間を一般サラリーマンの
労働時間(残業なし)1920時間とします。
次に目標利益率を決めます。
野菜セットの利益率は6~7割なので
65%とします。
そうすると目標の売上額が決まります。
400万円÷65%=615万円です。
次に野菜セットの単価を決めます。
お試しセットや3パターンぐらい
単価を決めつつも、その平均の単価を
4000円とします。
これで年間で売る野菜セットの数がわかります。
615万円÷4000円≒1500セット
このセットの数を年間の週の数で割ります。
1500÷50週=30セット/週
つまり毎週30セット配送することになります。
家族経営で考えると結構な量かもしれませんが
他の販売先を想定しなければ
いける量ではないかと判断しました。
これで顧客世帯数がだいたい見えてきます。
隔週注文や定期注文でない人もいれると
顧客は50~60名程度確保できると
目標の利益に達すると予測ができます。
それと同時に想定の顧客に必要な
野菜を安定供給する必要があります。
バリューチェーンの考えに沿って
顧客ベースで生産計画を作ります。
量や種類に余裕を持たせながら計画し
実際の生産技術を鑑みて決定します。
ここまでくれば
想定の50~60名の固定の顧客獲得のための
集客戦略を練ることになります。
この部分のアプローチは一般の農家さんは
行うところは少ないですが
労働時間を計画的に分配しながら
行動レベルまで落とし込みます。
※集客や販売についての話は
別でお話をしていきます。
これで生産と集客の2つの条件が
満たせるようになれば
農業のビジネスモデルとして成立し
安定した収益を見込めるようになります。
もちろん、1年目からこの状態は
難しいと思いますので
最初は別の販路を別で設けた計画を使って
バランスを取りながら進めていきます。
※生産計画の品種の表は松本自然農園さんのものをお借りしました。
目標、目的をぶれることなく
3年計画として実行すれば
現実的には可能なレベルだと思います。
それを実際に西田さんが証明されています。
(自分としては大消費地の東京においては
西田さんの住む石川よりも可能性を感じています)
結論ですが
シミュレーションはあくまで
・日々の行動レベルに落とし込む
・戦略を練るための材料
まで行って初めて活用が可能になります。
農業で稼いでいる脱サラ初心者農家さんは
実際に農業を始める前から
統計資料などをもとにしてシミュレーションし
ある程度、ビジネスとして成立するか確認して
挑戦をされています。
そしてここからあとは
実践しPDCAを繰り返しながら
目標と現実のギャップを埋めていく作業です。
PDCAとは経営用語で
Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)
の略でこのサイクルを行うことで
経営を継続的に改善する手法です。
これからの検証作業についてのお話は
また長くなりましたのでw
次回にお話しをさせていただきます。
今回も長文を読んでいただき誠にありがとうございました!