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バリューチェーンを意識する(思考その2)

畑会の山田です!

前回は「単価や利益率を上げる」

ことの重要性に言及しました。

とはいえ

単純に価格を上げても売れるわけではなく

それに応じた価値を提供する必要があります。

そこで、今回の2番目の思考法である

 

バリューチェーンを意識する』

 

についてお話をします。

  

バリューチェーンは経営用語で

マイケル・E・ポーターという人が

考えた枠組み(フレームワーク)です。

意味は

経営活動の業務の流れを

機能でそれぞれ分けて

その機能の価値のつながりを分析します。

分析することで

価値の向上、コスト削減ができ

結果として利益を最大化させる手法です。

 

直訳すると「価値のつながり」ですね。

今回はバリューチェーンの中にある

考えの2つのをお伝えしますね。

 

【1】価値の合計を最大化させる

 

まずはバリューチェーンを図解で示します。

f:id:hatakai802:20190222214630j:plain

この人の本に書かれている表現だと

少し難しいので

今回の都市農業ビジネス用に

とてもシンプルに表現してみます。

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農業の機能として大まかに3つとしました。

「生産」・「販売」・「経営管理

と分けてみます。

 

「生産」の機能

→ 畑づくり、種まき、管理、収穫、出荷調整など

「販売」の機能

→ 販売活動、営業、広告宣伝、マーケティングなど

経営管理」の機能

→ 事務、各種分析、経営戦略、人脈、仕組み化など

 

と、いうようなイメージ。

 

次に

この3つの機能に経営資源を投入します。

いわゆる

「ヒト・モノ・カネ」です。

 

ここでは話を簡易化するために

「ヒト・モノ・カネ」

ひとつにまとめて10割の数値に配分します。

 

例えば

生産:販売:経営管理 = 7:2:1

経営資源を分けることをします。

一般的な農家さんだと

これぐらいの割合でしょうか。

 

ここから価値の最大値を算出します。

各機能を掛けあわせると

生産:販売:経営管理=7×2×1=14とします。

これが価値の総量とします。

当然、こんなに単純ではないですが

バリューチェーンのイメージを

してもらいたいため計算を単純化しました。

 

このバリューチェーンの考えでいくと

価値の最大化を求めるには

同じぐらいの配分で

経営資源を分けた方が最大化します。

生産:販売:経営管理=4×3×3=36

となります。

 

これだとあまりにも単純なので

更に各機能のレベルを決めます。

レベルが低ければ、どれだけ

経営資源を投資してもあまり効果を

発揮できませんので

自分がどれだけのレベルかを

把握する必要があります。

 

各機能のレベルの基準は以下のとおり。

そして、レベルの上限がある程度存在します。

(この上限もあくまでざっくりです)

 

①生産

統計資料で見る10aの農地あたりの

平均の生産量を100%とします。

その平均より多いか少ないかで%が変わります。

生産量の最大%の値は、味の質を落とさず

最大200~300%(生産量2~3倍)

ぐらいでしょうか。

 

一般的な農家さんならば

だいたい80~200%でしょうか。

 

②販売

①と同様に

市場価格を100%として

販売価格の増減によって%が変わります。

最大で500%(市場価格の5倍)ぐらいでしょうか。

 

一般的な農家さんならば

80~120%の値段で販売

しているかと思います。

 

経営管理

1人の労働生産性を100%とし

そこから

販売戦略、業務委託、組織化、システム化

ホームページやブログによる集客の仕組み化、

などで

1人当たりの労働生産が上昇します。

ここに関しては物理的制約がほとんどなく

発想によっては何百%、何千%も

価値を高めることができます。

分かりやすい例だと、法人化ですね。

一般的な農家さんは基本100%とします。

 

③、②、①の順で

価値の最大化の可能性が大きく

特に力を入れていくと

長期的には価値の最大化が図れます。

 

以上が各機能のレベルの話でした。

 

機能のレベルが決まったら

改めて、それぞれの機能の価値を掛け算します。

2つのパターンを提示します。

 

(Aパターン)

(1)経営資源の分配

生産:販売:経営管理

7  × 2  × 1      = 14

(2)各機能のレベルを追加

(7×200%)×(2×100%)×(1×100%)

14× 2  ×  1      = 28

 

(Bパターン)

(1)経営資源の分配

生産:販売:経営管理

4    ×    3   × 3  =  36

(2)各機能のレベルを追加

(4×80%)×(3×120%)×(3×150%)

生産:販売:経営管理

3.2×3.6×4.5=  51.8

 

となりました。

 

AもBも経営資源はどちらも10割

レベルの合計も300%で

持っているものは似ています。

しかし、配分が違うことで

価値の合計は2倍近くの差になりました。

 

一般的に多いのはAパターン。

生産特化型。

 

Bのパターンは、バランス型。

「生産」のレベルが低くても

「販売」「経営管理」を少しずつ高ければ

Aのベテランの農家さんよりも

収入はあがることが理論上可能です。

 

Bパターンの場合は

「販売」「経営管理」の伸びしろがまだあり

長期間で見たときにはレベルがあがり

価値がさらに向上していきます。

その間にも「生産」のレベルもあがるので

伸び率が急激に上がります。

実際に西田さんは脱サラの状態で

1.2年で利益をだすことができました。

 

Aパターンだと

「生産」のレベルの上限に限りがあり

そこにだけ注力していても全体効率が悪く

「販売」「経営管理」のレベルが上がりません。

結果、価値の伸び率は停滞することになります。

 

前回もお伝えしたように

生産量が上がっても単価を安いままだと

「生産」の機能が十分に発揮されず

収益率が低い状態が続くことが分かってしまします。

 

バリューチェーンを意識することで

これからどこに経営資源を注力すべきか

が見えてくるようになります。

 

【2】ニーズから生産を考えること

 

一般の企業では、当たり前かもしれませんが

どういった顧客に売るかを想定して

その顧客のニーズに合わせたものをつくります。

バリューチェーンを見た時に

生産から販売までつながっているため

そういった考え方が身についてきます。

しかし農家さんにはそういう考えの人が少なく

生産してからどう売っていくかを

考えられる方が多いようです。

 

それにはもちろん理由があります。

 

それは

・「農家は作ってなんぼ」という文化的歴史的な背景

・農作物の購入者はすべての人が対象のため

 ターゲットを明確にしなくても売れるといえば売れる

・小売店に卸すため顧客のイメージができない

 

バリューチェーンの意識を持つためには

やはり前回の話同様に直販がいいと思います。

直接販売を行っていくと誰に販売していくか

より明確になっていきます。

誰にとっての価値が決まっていれば

自ずと生産する品種も量もバランスもすべて

決まってきます。

(この点についてはブログの考察④を参照)

 

たまに「地域の人」「無農薬野菜を好む人」

という答えが返ってきますが

その定義だといろんな人のニーズが分かれるため

どういった農作物を届けばいいのか分かりません。

 

顧客を決めて、バリューチェーンをもとに

考えをすすめていくことをおススメします。

 

 

以上でバリューチェーンの解説を終わります。

内容が過去に投稿していた考察とも

重複する部分もありましたが

今回はより俯瞰的な見方で

お伝えさせていただきました。

 

では、次回はそのバリューチェーン

どうやって運用、活用するかについてお話いたします。

 

今回も長文をお読みいただきありがとうございました!

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