今までは都市農業で稼げない理由を
5つ述べてきました。
今回からは
都市農業のビジネスモデルについて
これまた
「稼ぐための5つの思考」と題して
話していきたいと思います。
今回は、一つ目の思考
それは!
【単価を上げて利益率を高める】ことです。
以前、お伝えした通り
地方の大規模農家が稼ぐことができるのは
大規模によるスケールメリットに
よるものが大きいとお話しをしました。
都市農業は農地面積が狭く
地方のように稼ぐことはできません。
であれば
面積あたりの収益率をいかにあげるかを
考えていかなければなりません。
まず利益率を上げることが
どれだけのメリットがあるかを
お話しさせてください。
例えば100円の農作物を
スーパーなどで卸すとします。
その際の利益率をだしてみます。
2014年度の農水省の資料で
小売価格に占める生産者の受取価格の平均の割合は
45.1%となりました(調査対象16品目)。
価格が100円とした場合
100円×45.1%≒45.1円
つまり100円の野菜を売った時に
農家に入ってくる取り分は約45円となります。
そこから生産に関わる経費が
売上の2~3割ぐらいとされています。
ここでは25円とします。
そうすると
45円-25円=20円となり
100円の農作物を売る際に
農家に入ってくる利益は20円となり
利益率は20%になりました。
次にこの農作物の価格を2割増して
売り方を工夫して売れるとします。
そうなると
120円×45.1%≒54円
54円-25円=29円となります。
(生産に関わる経費はそのまま)
そうすると利益率は約30%
面白いことに価格は2割増しですが
利益率が5割増しとなりました。
さらに価格を5割増しの
150円として販売できたならば
利益率は40%で
最初の利益率の2倍となります。
次は逆に価格を2割値下げしてみます。
そうすると
80円×45.1%=36円
36円-25円=11円
となり、利益率は約10%
なんと当初の半分となってしまいます!
簡単な数式ですが
単価が少し変化するだけで
利益率は大幅に変化することが
お分かりになるかと思います。
ここで選択肢がでてきます。
利益を100万だすためには
①売上500万×利益率20%
②売上335万×利益率30%
③売上250万×利益率40%
④売上1000万×利益率10%
というパターンに分かれます。
①が一般的と考えた場合は
③では、生産を半分に減らしても
利益は同じになります。
④は、価格競争に巻き込まれた場合です。
生産量は①の倍。③の4倍作って
売らなければ同じように稼げません。
地方の大規模農業ならば
可能かもしれませんが
都市農業においては
そもそも農地が狭いことを考えれば
自ずと③の選択肢となります。
都市農業で儲からないのは
①か④のビジネスモデルに
なっているからと言えます。
そこで反論が来ます。
「単価をあげて収益率を上げるのは
大事なのは分かった。
しかし、販売をしても
他の農家と価格が一緒になり
価格を上げることなどできない」
と、言われます。
・・そうなんです。
小売販売をした時点で
農家には価格決定権はなく
市場価格で販売されてしまいます。
つまりはスーパーやJAなどに卸した時点
ビジネスモデルに限界があることが
分かってしまいます。
であれば、考えるべき売り方の最適解は
自ら価格を決定して売ることができる
消費者への直販が答えとなります。
では、今回のセミナー登壇者の西田さんは
どうやって利益率を上げているのでしょうか。
西田さんの場合は
HPを通して野菜セットを直接、消費者に
販売をしています。
それを基軸に加工品やオプションを入れて
単価を高くしています。
利益率は、自分の農作物を直販した場合
販売手数料、仲介手数料がかからないため
利益率は6~7割にまで跳ね上がります。
とはいえ全て、西田さんの畑だけでまかなうのは
難しいこともあり、他の農家から仕入れを行い
安定供給をしています
結果として
西田さんの場合の利益率は50%となります。
(年間売上1200万円、利益600万円)
それでも他の農家さんに比べ
2~5倍の利益率となり
驚異の農業ビジネスモデルになっています。
西田さんの場合は
個人顧客への野菜セットでしたが
それ以外にも
・高級飲食店向けに単価の高い野菜提供
・収穫体験をサービスとする観光農園
・農作物の加工品に特化
・高付加価値の果物の販売
などいくつか考えられます。
※写真はコスモファームさんの色とりどりのピクルス。
加工品も収益率を上げる方法の一つ。
ただ、どの場合にせよ
販売力やマーケティング、商品開発などに
力や時間を割く必要があります。
都市農業においては稼ぐためには
農家=生産だけではなく
幅広い能力が求められています。
とはいえ、いきなり消費者への直販にしよう。
とは現実的に難しいのも確かです。
最初は少しずつ、売り方を変えながら
利益率の高い販売の割合を増やしていく
戦略が求められます。
この点については少しセミナーで
提案させていただければと思います。
なお、今回のセミナーでは
マーケティングや販売戦略などについては
少しだけ触れますが
話が多岐に渡り膨大なため
また別途、セミナーを開催予定です。
今回、私の方では都市農業のビジネスモデルや
経営管理について優先的にお話していきます。
より実践的な話しは
登壇者の西田さんに聞いていただければと思います。
どうぞよろしくお願いします^^
以上です。
次回は2番目の思考法です!
今回も長文読んでいただき
ありがとうございました!